~ 上手なつき合い方 ~
店員さん との関わり方
私は今のテーラーと出会って、もう20年以上お付き合いをしている。そう思うと人生の結構早い段階で出会えたことはとてもラッキーであった。
ただし全ての服をそのお店から購入する訳でもないし、シャツや小物などは違ったお店から購入することもある。
では はじめて入るお店ではどうするか。その際は「自分の感覚を分かってくれそうな方に相談する」ことにしている。
例えば年齢が近く、知識を豊富に持っていそうな方に話掛ける。それで会話がうまくかみ合うか確認してから、話を進めるといった感じである。もしこの記事を読んでくださっている方が、若い方であり、同じ世代の感覚を共有したいのであれば、そういった方に相談すれば良いし、女性受けを狙うのであれば、女性の店員さんに相談するのも良いだろう。
ただ私は自分の感覚をダイレクトに伝え、うまくコミュニケーションが取れる方にお願いするようにしている。時には若くても知識が豊富で気が利いている店員さんもいらっしゃる。その場合は、その方と話を進めることもある。実に楽しい時間である。
こうやって書いていると、買い物とは「商品」と「金銭」のやりとりだけでなく、コミュニケーションが占める割合も大きいということだろう。特に車や時計など高額になる商品は気持ち良く購入したいものである。
服に限らず、飲食店でもなじみのお店がある。それは料理の質や嗜好の他に、店員さんも含めたお店との相性もあるだろう。結局は「人」に会いに行っているのである。
体型の維持
それともう一つ大切なことがあります。それは 体型の維持 です!
せっかく綺麗なスーツを作って頂いても、自分の体型が変わってしまっては意味がありません。もはや他人のスーツです。私も体型の変化はありました。やせた時はテーラーの方が「お直し」しましょうと提案してくださって、綺麗に補正して頂けました。
ただ年齢によって体型は変化しますので、自分の年齢に合った健康管理と体型の維持を気をつけていくことになります。
私はここ1年で3kgくらい体重が増え、スーツもパツパツになりました。しかし これではいかんと思い、毎日1時間かけてウォーキングとスクワットなどを行い、約3ヶ月で無事に以前の体型を取り戻しました!
これで やっと またスーツを綺麗に着れるようになりました。スーツをオーダーするということは、自分を律する意味合いでも、とても大きいです。この毎日のトレーニングの内容は、別途お伝えしようと思います。
自信をもって、服を着こなす! 大切な心構えです。
夏はどうする?
暑い時期のスーツって大変ですよね。汗だくで着たくないし。
今はクールビズも浸透してきましたので、かしこまった接客業の方以外は軽装の方も多いと思います。
結論から申します。クールビズが適用されている夏の職場では、割り切って クラシックスタイルから一旦離れています!
そして、機能性と清潔感を重要項目とし、ユニクロの商品を活用させて頂いております!

左の写真はユニクロのスーパーノンアイロンシャツです。縫製も良くコストパフォーマンスは非常に高いです。しかも「裏前立て」仕立てです。これはノーネクタイを意識しているのでしょう。年々クオリティのが上がっていおり、ここまで良くできているのかと感心します。強いて言えば襟の立体感でしょうか。
ちなみに襟の高さや長さを測定しましあが、私がオーダーしたシャツと同じでした。
素材感や醸し出す上品さは致し方ありません。しかし服が傷みやすい夏場やあまり力を入れないシーンでは「あり」でしょう。

シャツやインナーなど安価で高機能な製品を提供して下さるユニクロさん。
半袖シャツはもちろんですが、夏に限らずノーネクタイ時のインナーはエアリズムのVネック(ベージュ色) を着用しています。これで快適さも増しますし、首元からインナーが見えず素肌感も醸し出せるし、大変重宝しています。ユニクロさん ありがとうございます!
また ポケットに物を入れないとか、シワの無いシャツを着るなど、夏場は特に清潔感に配慮しています。
ただし 靴だけは、夏も変わらずしっかりとしたものを履いています。それだけで全体がグッと引き締まります。ただ黒の靴では暑苦しく見えますので、薄い茶の靴を履くようにしています。当然ベルトも同色ですね。こうやって清涼感を上げているのです。
メンテナンスについて
スーツのお手入れの基本はブラッシングになります。クリーニングにはほとんど出しません。風合いが損なわれるからです。しかしどうしてもシミや汚れが付いた場合にのみ、信頼できるクリーニング店に依頼するようにしています。
その一方で夏場はどうしても汗をかきますので、前述したようにガンガン洗えて長持ちするユニクロの製品を愛用しております。

右:ウォーターストップスプレー 上:靴ブラシ(表革用)右:底用
靴に関してはこまめにメンテナンスをしています。履いた後は底と表革をブラッシングし、シューキーパーを入れて保管します。
しばらく履いて靴の艶が無くなってきたら、クリームを薄く塗り、数時間経ってから余分なクリームを拭き上げます。
たまには、ステインリムーバーにより、表革の汚れを落としてからクリームを塗ると、気持ち良く浸透し美しく仕上がります。またその際は水と汚れを防止を目的に、コロニルのウォーターストップスプレーを散布し、翌日軽く磨きます。
ベルトやバッグなどの革製品は、靴と同様のお手入れをすることで、コンディションを長く保つことができます。

またセーターは全て手洗いします。それはユニクロでも同じです。自分で手洗いすると、その汚れにビックリしますし、柔軟剤で仕上げるとフワフワに仕上がります。クリーニングに出すと、だんたんパサつき感が出てきますし、肉厚も薄くなっていくような気もします。
自分でメンテナンスを行うと、服や物に対する愛着も大きくなりますし、大切に長く愛用することに繋がります。
襟元が擦れたドライバーズ ニットがありましたが、先日お直しに出して縁を補強してもらいました。もう10年以上愛用しているセーターも数着あります。
私はお手入れが好きなので、楽しみながらやっています。どんなに高価な製品でも、手入れの行き届いていない状態を見ると、とても残念に思うのです。それは、その製品の最大のパフォーマンスを発揮できていないからです。
また、その製品および作った方にも失礼だと感じています。もしあなたが製品を作り、それを大事に扱ってくれている人を見たら嬉しくなりませんか? 私はその気持ちで身の回りのものを扱っています。
ブランド物の既製のスーツについて
ブランド物の既製のスーツをどうとらえるか。考えてみましょう。
これは好みの問題もありますので、正解はありません。
ただ私は、流行に左右されない長く着れるスーツを求めていますので、流行を追ったブランド物のスーツは購入しません。
確かに生地や縫製、デザインは秀逸でしょう。しかし海外のブランドですとサイズも大きいでしょうし、体型も私たち日本人とは違うと思うのです。 いかに前述した内容のものが秀逸であっても、身体に合っていなければ、自分にとってはあまり意味が無いように感じるのです。またそこでお直しすると、縫製やデザインのバランスは崩れてしまいますので、名前だけが残る感じになります。
あるテーラーの方がおっしゃってました。「既製服はカッコイイと言われる」と。
その方曰く。「そりゃ そうでしょう。カッコよさ優先で作られているのだから」
なるほど。納得です! スーツ(服)とは、私達の体型を基に成り立っています。理想の体型をベースに、理想のデザインを施したらカッコ良くなりますよね!(笑)私達がモデル並みのスタイルを持っていれば別ですが。。。
妙に納得した 一言 でした!
ただ そのブランドでオーダーしてくれるのであれば、意味があるかもしれません。
そのブランド独自のノウハウやポリシーを織り込んでくれるでしょう。ただ私はそのようなブランドでオーダーしたことが無いので、何とも言えないのです。
以上の観点から、私はブランド物の既製のスーツは購入しておりません。信頼のおけるテーラーで購入しています。既製服にしろ、オーダーにしろ、彼らを全面的に信じて身を任せています。
ただし鞄や財布などについては、個人の体型に合わせる必要が無いので、スーツに比べ、ブランドと価格、品質の整合性は高いかもしれません。
最後に
これまで いろいろと述べてきましたが、私の主観もかなり入っていると思います。しかし このテーマにおいては、トレンドに流されず、長く着れる服をベースに書き進めてきました。
多少 高価になる場合もありますが、ちゃんとお手入れをして、愛着を持って長く愛用するスタンスです。
また 自分の意識を高く持ち、自信を持ちつつも、相手に対する敬意を持ち合わせる姿勢も意識しています。
以上 6回にわたり、クラシックスタイルにおけるスーツの着こなしについて述べてきました。
まだまだ 伝えたい事は沢山ありますが、ここまで理解して頂ければ、皆さんの意識と姿に変化が表れると思います。
皆さまの素敵なスーツ姿を楽しみにしております ✨
「クラシックスタイル入門」シリーズはコチラ
スーツの着こなし① 意識で印象が変わる
スーツの着こなし② 美しく見えるポイント
スーツの着こなし③ アイテムの選び方
スーツの着こなし④ ディテールを知る
スーツの着こなし⑤ 投資すべき優先順位
スーツの着こなし⑥ 上手なつきあい方