クラシックスタイル入門 スーツの着こなし③

ファッション

~ アイテムの選び方 ~

靴について

スーツの着こなし アイテム編です。まず最初のお伝えするのは靴のお話しです。それは一番重要だからです。
スーツの着こなし ① 意識編 で紹介した 落合さんによると、まず最初にお金をかけるべきは、靴とおっしゃっています。それは私も同感です。スーツの前に靴なんです。
街ゆく人が履いている靴を見ると、だいたいその人の洋服の理解度・センスが分かります。
「足元を見られる」実に的を射た言葉です。

黒のストレートチップ
内羽根:ひもを通す部分が「Vの字」になっている。

スーツスタイルでは最初に押さえるべき靴が存在します。それは 黒のストレートチップです。これは断言できます。落合さんは茶のストレートチップを進めていらっしゃいましたが、おそらく冠婚葬祭を除いた場合をおっしゃていると思います。
まず1足目で冠婚葬祭・ビジネスを含めて考慮すると黒のストレートチップ 1択です。
できればグッドイヤー・ウェルト製法の革底の靴が望ましいです。これで どこにいっても恥ずかしいことはありません。その次に茶色の靴で良いでしょう。
ちなみに グッドイヤー・ウェルト製法で しっかりと作られた靴は、お手入れすることでかなり長く愛用することができます。靴底がすり減っても交換することが可能です。この写真は私が所有している ストレートチップです。これまで大切にお手入れし、かれこれ 20年以上愛用しています。このペースだと棺桶まで持っていけますね(笑)

外羽根式 キャップトゥ
外羽根:ひもを通す部分が「ハの字」になっている。

スーツスタイルにおける靴は、基本的に「ひも靴」になります。また ひもを通す部分のことを「羽根」と呼びます。この羽根には、内羽根(うちばね)「Oxford」と外羽根(そとばね)「Derby」があります。これは好みがありますが、フォーマな場面では内羽根の方がよりエレガントを表現できますね。しかし いずれもスーツスタイルには問題ありません。
左の写真は、ひもを通す部分が「ハの字」に広がっていますね。これが外羽根式です。上の写真のストレートチップでは「Vの字」になっています。これが内羽根式です。

タッセル付 ローファー
ダブル モンクストラップ

その一方で ローファーがありますが、これには ひもが有りません。したがって 厳密に言うとスーツスタイル には適しておらず、ジャケット・パンツ スタイル の時に有効となります。
ひも無し靴の例外として、モンクストラップはスーツスタイルにも有効ですが、ひも靴を何足が所有した後に、楽しんでみると良いと思います。

しかし靴は同じものを毎日履く訳ではありません。複数の靴を日ごとにローテーションしながら履いていくのです。これが長持ちの秘訣です! したがって、手持ちの靴と合わせ、数日に一度履く事になります。大事な商談やパーティなど、大切な場面では、しっかりとした靴を履かれることをオススメします!

シャツについて

「裏前立て」仕様の オーソドックスな白のシャツ

まずシャツの基本の色合いは「白」か「淡いブルー」になります。
クラシックな着こなしにおいては、奇を衒わずエレガンスを意識しますので、この2色となります。
これにストライプや、すこしカジュアル感をいれたければチェックを用いることもあるでしょう。
襟の形は私の場合、オーソドックスなセミワイドを選んでいます。
またシャツをオーダーする際には、胸ポケットはつけないようにしています。余分なものは付けないという発想ですね。

またドレスシャツであれば前立て(フロントボタンの縦帯のこと)が表に出てこない「前立て」で仕立ててもらいます。

ブロード生地 白 淡いブルー

素材感としては、ブロード(平織り)やツイル(綾織り)、オックスフォードなどを選ぶことになるでしょう。左の写真はブロード(平織り)です。最もフォーマルとされていて、細い番手になると光沢感が増します。
私の個人的にはツイルや細番手のオックスフォードが好みです。ブロードは少し表情が硬く感じますので、多少の織り感があり、色気を醸し出したい場合に最適だと感じています。
また太番手を使用したオックスフォードはボタンダウンの定番ですね。

スーツの着用シーンをイメージしながら素材を選ぶと間違いは少なくなると思います。

ネクタイについて

まずはネクタイの素材ですが、基本はシルクになります。できれば重量感のあるものが良いでしょう。
あまりかしこまったシーンでなく、冬場で起毛素材のスーツを着用するときは、ウール素材も良いと思います。

「小紋」柄のネクタイ

ここで重要なのはネクタイの柄です。「小紋」柄や「無地」選びます。
「小紋」柄とは、花柄 や 紋章などの「小さなモチーフが並んだ」 最も古典的な柄のことです。
フォーマルな場面には「無地」は良く合いますが、その他のシーンですと、スーツ、シャツ、ネクタイが「無地」になると表情が出しづらいかもしれません。
ネクタイにストライプ柄が多いではないかとの意見もあると思います。もともとストライプ柄は英国の連帯や大学などの特定の団体を表しており、国際舞台では注意が必要と言われています。

ちなにみストライプの流れが左上から右下の場合は英国式のスタイルで、ストライプが逆に流れるスタイルは「リバース」と称され、一般的にアメリカ式と言われています。
しかし上記の内容を理解した上で、ストライプ柄のネクタイを着用するのであれば、問題はないと思います。

次にネクタイの幅ですが、私は9cmを選んでいます。これはスーツのラペルの幅に比例しており、クラシックの幅の広いラペルのスーツには、幅の広いネクタイを合わせることになります。
私のスーツのラペル幅は約9cmであり、ネクタイの幅と合っていました。
現在の若いアイドルグループが着用しているスーツなどは、モード寄りになっており、ラペル幅も狭いため、ネクタイの幅も狭くなっています。

ラペル幅の広い クラシックなスーツ
ネクタイもディンプルを作り立体感を演出している

つづきましてネクタイの締め方です。ここではディンプルについて説明します。
ディンプルとはネクタイを締めた時の窪みであり、これがあると表情がでてきます。左の写真をご覧ください。ディンプルがあった方が立体感が出てきませんか。
またネクタイの結び目の大きさですが、シャツの襟の開きによって調整します。襟の開きが大きい場合には、結び目を大きくしてバランスを取ります。また身体が大きい人は、結び目を大きくした方が全体的はバランスが取れるかもしれません。

ネクタイの長さ

最後になりますが、ネクタイの長さについてお話しします。
実はネクタイの長さもに目安があり、ベルトのバックルがにネクタイの剣先で隠れる程度に調整します。
これが短いと貧相に見え、逆に長いとだらしなく見えてしまいます。

ここまでがネクタイのお話しです。
ネクタイは人の目線の近くであり、印象に大きく影響します。少し意識するだけでも違いは出てくると思います。

ベルトについて

黒 こげ茶 薄茶 のベルト

ベルト選びにも、ちょっとしたコツがあります。
スーツに合わせるベルトは、シンプルでバックルなどがゴテゴテしたものは選びません。
私の手持ちのベルトの幅は、2.8~3.0cmでした。このくらいが一般的だと思います。
また色合いは黒と茶になります。そして、その日に履く革靴の色に合わせます。
余裕があれば、薄い茶色の靴を履く時は、同じ色で合わせると統一感が出るでしょう。
私の場合、革靴とベルト、時計のベルトの色はできるだけ合わせるようにしています。

靴下について

左:黒(着圧) 右:紺

実はスーツの着こなしにおいて、靴下にもルールがあります。
まずは色合いです。黒と紺の2色になります。
黒の革靴の時は黒、それ以外は紺の靴下を履きます。
それともう一つ大事なことがあります。それは長さです。
スーツにおける靴下の長さは膝下までとなります。これを(ロング)「ホーズ」と呼びます。座って足を組んだ時でも すね が見えないようにするためですね。
ブランドのワンポイントなどの柄も無い、全く無地の長い靴下を選びます。
素材は秋冬はウール、春夏はコットンとなります。
少し邪道かもしれませんが、最近では高機能な着圧式のホーズもあり、快適であることから、私はこれも愛用しています。
(着圧式は通常は小さいですが、履くと膝下まで伸びます)

今回は、スーツスタイルにおける各アイテムについてお話ししてきました。普段何気なく身に付けているアイテムにも、それぞれ気を遣う部分があるのをご理解頂けたでしょうか。
ちょっとしたことですが、意識してゆくと、印象はガラリと変わってきます。少しずつ自分のものにしてゆきましょう。

「クラシックスタイル入門」シリーズはコチラ
 スーツの着こなし① 意識で印象が変わる
 スーツの着こなし② 美しく見えるポイント
 スーツの着こなし③ アイテムの選び方
 スーツの着こなし④ ディテールを知る
 スーツの着こなし⑤ 投資すべき優先順位
 スーツの着こなし⑥ 上手なつきあい方

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