国民年金の受取り開始時期の検討① ~ 受取額累積編 ~

ファイナンス

本記事は、個人的な試算結果であり、皆さまのライフスタイルに当てはまるものではありません。また記事の内容や試算結果を保証するものでもありません。
最終的なご判断は、必ずご自身の責任において行ってください。

はじめに

私も50代中盤に差し掛かり、あと数年で年金受給開始の権利を得ることになりました。
そこで、いつから国民年金の受給を開始した方が良いのかを検討したいと思います。

検討条件の整理

まずは検討するにあたり、条件を整理します。

・独身 子供(扶養)なし
・会社員 → 現在 個人事業主
・老齢・厚生年金の受給対象者
・退職金を運用中

となります。とってもシンプルですね。

制度の変更

令和7年 年金制度改正法が施行され、2026年4月から年金制度が改正されました。

【主な改正点】
在職老齢年金制度の改正(2026年4月から)

目 的 高齢者の就労継続を後押しし、働きながら年金を受け取りやすくする
対象者 厚生年金に加入しつつ老齢厚生年金を受給する60歳以上(nenkin.go.jp)
支給停止の基準額 2026年3月まで:賃金+老齢厚生年金=月51万円超で一部または全部停止
2026年4月から:同65万円超に引き上げ(nenkin.go.jp)

公的年金と税制改正(2026年分)

改正内容 和8年度税制改正により、所得税の基礎控除額が引き上げ(nenkin.go.jp)
公的年金の源泉徴収の対象とならない年金額の上限が増加 65歳以上:205万円未満 → 214万円未満
65歳未満:155万円未満 → 164万円未満(nenkin.go.jp)
その他 扶養親族の所得要件や住民税の申告範囲も見直し


制度の変更はありましたが、私の場合に当てはめた場合、検討上の影響はありませんでした。

受給制度の確認

受給開始時期は60歳から75歳まで選べる

国民年金や厚生年金は 原則65歳から受給開始となりますが、60歳から75歳までの間で受給開始時期を自由に選ぶことができます。
65歳前から受け取ることを「繰上げ受給」、66歳以後に受け取ること を「繰下げ受給」といい、繰上げは60歳から、繰下げは75歳まで選択できます。

繰上げは減額、繰下げは増額される

繰上げした時は、原則65歳の受給月額を基準に年金額が1か月早めるごとに0.4%ずつ減額され、繰下げした時には1か月遅らせるごとに0.7%ずつ増額されます。
したがって、仮に60歳まで繰り上げて年金を受け取るようにすると年金額は月額24%減額され、75歳に繰り下げて年金を受け取るようにすると月額84%増額されることになります。

   年齢 60  61  62  63  64  65        
受取率% 76.0 80.8 85.6 90.4 95.2 100.0        
年齢  66  67  68  69  70  71  72  73  74  75
受取率% 108.4 116.8 125.2 133.6 142.0 150.4 158.8 167.2 175.6 184.0

これを年利で換算すると
65歳以前から繰り上げて受給した場合は、月0.4%ずつ減額され、年利4.8%となります。
66歳を以降に繰り下げて受給した場合は、月0.7%ずつ増額され、年利8.4%となります。

2026年7月現在、1年物の定期預金の年利が約1%だと考えると、かなり大きな利率だと言えますね。

なおコチラのサイトで受給開始年齢別の受け取り年金累積額(試算)が検討されています。 ⇒

受取額累積はどのくらい

次に年金受取額の累積はどのくらいになるのか試算してみました。

今回は比較が容易となるよう、検討条件は以下の通りに設定します。
・65歳で受給開始する場合、年間240万円(月20万円)の受給額とする
年金受取額の累積のみを試算する
・貯蓄額、年間出費は織り込まない

この試算によると、60歳、65歳、70歳で受給開始した場合、おおよそ 80~82歳あたりが損益分岐点となります。

また75歳で受給開始した場合の損益分岐点は、以下の通りとなりました。
・60歳で受給開始した人:85~86歳くらい
・65歳で受給開始した人:87歳くらい
・70歳で受給開始した人:92歳くらい

受給を遅らせると月々の受給額は増えますが、年齢を重ねないと累積額は逆転しませんね。

運用したらどうなる?

ここで受給した年金を運用したらどのようになるのかを試算してみました。
条件としては、年利3%の複利計算です。

この試算によると、60歳、65歳、70歳で受給開始した場合、おおよそ 86~87歳あたりが損益分岐点となります。運用なしと比べると6年ほど先送りになった感じですね。

また75歳で受給開始した場合の損益分岐点は、以下の通りとなりました。
・60歳、65歳で受給開始した人:92~93歳くらい
・70歳で受給開始した人:100歳くらい
こちらも随分先送りになりましたね。

また累積額にも大きな違いが現れました。

【受取年金累積額の比較】

かなり大きな違いがでましたね。
3%ですが複利ということもあり、運用期間が長いほど効果が大きくなります。

ご自身で運用できるということであれば、検討してみるのも良いかもしれません。
ただし運用益には税金が掛かりますので、額面通りに受け取れる訳でもありません。

さいごに

今回は国民年金の受取り開始時期の検討を行いました。
その入門編として、「受取額の累積」のみに焦点を当て試算してみました。

要は もらえる額 を重要視した試算となります。

しかし実際の受取開始の検討には
家族構成、貯蓄額、年金以外の収入、年間の支出やイベント、健康状態、世界情勢などが絡んできます。
なので一概に今回の試算だけでは判断できません。

また これからも年金制度は変わる可能性があります。
ご検討の際には、信頼のおけるファイナンシャルプランナーに相談されるのも良いかもしれません。

年々平均寿命は延びています。
これからの私たちにとって大切なものは何か。
健康、人間関係、いきがい、お金 etc…

この記事が、皆さまのこれからの過ごし方を検討するキッカケになれば幸いです。
くれぐれも最終なご判断は 自己責任 にてお願いいたします。

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